日常生活とビジネスのコミュニケーション。
「どちらも人を相手にするもの、違いはない」と捉えるのは、少し早計かもしれません。
もちろん、同じ部分もありますが、この2つは目的が異なります。
ビジネスでは、誰もが、企業の目的を果たすことを目指して働いています。
自分の目標を設定するのも、企業の目的に繋がっているものです。
仕事をできるだけ質高く、スピーディーに、できれば多くこなしたいと思っています。
ビジネスで接する相手を、友人のように選んでいては仕事になりません。
家族のように、近づき過ぎても、相手を不快にさせてしまうこともあります。
相手と好き嫌いの感情で接することは、ビジネスコミュニケーションとしてはタブーなのです。
限られた時間の中で仕事を進め、結果を出すため、それぞれの役割と意図を持っています。
プライベートでは許される曖昧さや甘えは、それを阻害してしまうのです。
厳しいと思われるでしょうか。そっけなさや無機質さが感じられるでしょうか。
ビジネスでは、関わる人たちの仕事の目的を果たすために、最上級の心遣いが求められます。
仕事を進め、結果に繋げ、利益を出すのは、関わる人みんなで成長し、繁栄を共有するためです。
良いビジネスコミュニケーションとは、この共通の目的を果たすための意思疎通と言えるでしょう。
矛盾しているようですが、ビジネスコミュニケーション力が向上すると、日常でも同じような気遣いが必要なことを改めて気付くようになります。
強制ではないとしても、相手に喜ばれることや役に立てることが増え、プライベートのコミュニケーションも円滑になっていくようです。
「どちらも人を相手にするもの、違いはない」というのは、間違いではありません。
しかし、ビジネスコミュニケーションがスムーズにできるようになってから考えると全体の質が上がります。
貢献できる人、役に立てる人というのは、この順序を辿っているのかもしれません。
ビジネスの厳しさの中でトレーニングされるものです。
そういう意識で、コミュニケーション力の向上を目指してみてはいかがでしょう。
自分も含めて誰一人、損をすることのないチカラです。
関わる人皆が成長し、繁栄を共有するためというのは、家族にも友人にも広げていきたいですよね。
■ 日常では具体性を省いている
日常で接する人たちとの距離は、ビジネスで接する人たちに比べると近いでしょう。
お互いのことをよく知るための時間が長く、共有する時間も増え、共通認識していることも多くなります。
ある程度漠然とした言葉のやり取りであっても、共通のイメージを抱くことが比較的簡単です。
コーラか緑茶かコーヒーかを指定しなくても「いつものアレ」が通じやすい相手です。
ものを説明するときに「前から欲しがってたもの」と言って、通じることもあるでしょう。
これは、他の誰かではなく、自分とその相手だからこそ分かる限定的なことです。
プライベートというのは、その積み重ねで親密さを増していくものとも言えるでしょう。
■ 具体的だと理解しやすい
ビジネスでは、接する相手がどこまで理解できるか、どんな共通認識を持っているかが分からないことがほとんどです。あ、うんの呼吸なら、通じるはずの「アレ」や「ソレ」では、わかりにくいのが常。
その人でなくても、理解してもらえるくらいの具体的な表現が必要になります。
具体的な表現として、3つの点を意識してみましょう。
具体的でない場合に起こり得る問題も、想像してみてください。
1つ目は、具体例の提示や、たとえ話をすることです。
話の内容が相手の経験にフィットしていれば、相手はイメージしやすくなり、理解が深まるでしょう。
2つ目は、細分化して伝えることです。
5W1Hなどに当てはめる意識を持ち、細かい情報をすべて伝えるようにすることです。
「ミスをしました」では、何も分からないところを、
「昨日、B社の山田様に送ったメールにミスがありました。
請求金額45,000円を54,000円と記載していた旨を昨日夜、メールでご指摘いただきました。
今朝、訂正したメールをお送りし、電話でお詫びしました」
3つ目は、曖昧な言葉を避けることです。
早く、多く、少なく、大きく、小さく、高い、安いなど、人によって解釈の幅がある言葉があります。
「15分」「明日まで」「3枚」「A3用紙」「5,000円以内」「10名」などで表現するのが適切です。
相手を迷わせたり、間違いが発生したりを防げるでしょう。
■ 具体的にすればスピードが上がる
仕事を指示するときに、「確認を忘れないでください」「いい対応を心掛けましょう」と伝えるだけでは、どの部分を確認するべきなのか、いい対応とはどのようなものかの把握が難しいものです。
教わる相手によって、異なる「確認」や「対応」をしてしまう可能性も出てきます。
聞いたことが理解できないとき、「分かりませんでした」というのも、具体的ではありません。
聞こえていなかったのか、ある一部が分からないのか、意味が分からないのかの情報を伝えましょう。
話し手は、そのポイントを繰り返したり、言い方を変えたりがしやすくなるのです。
■ 具体的に伝えることで説得力が増す
商談やプレゼンの説得力を増すためにも、具体性が必要です。
上記の項目で上げたような、具体的な表現にすることで相手の理解が得られやすくなるでしょう。
相手によく理解してもらうことは、仕事を進める上では欠かせないことです。
納得できなかったり、分からないものに対して、承認をしたり、契約のサインをすることはできないのです。
特に3つ目のポイントの数字での表現が、信頼性、信ぴょう性、納得感を増す材料となります。
数値化に慣れてくると、もう一段上の効果的なテクニックも視野に入ってくるでしょう。
仕事の業務、成果、充実度、すべてのものを数字化することができますか?
■ 相手のメリットを見抜くのは簡単ではない
ビジネスはメリットの需要と供給、その提供と受容で成り立つと言っても過言ではありません。
それによって、関わる人や企業の成長や繁栄がもたらされていくのです。
多くの人が、メリット提供の機会を逃しているようです。
メリットを受容することは意識しても、提供することは意識すらしていないことがあります。
メリットの提供には、コミュニケーションを良好にするというメリットが隠れています。
その場でメリットを受容することより、何倍ものコミュニケーション効果を運んできます。
手間暇が掛かったとしても、その時間対効果を軽視してしまうのはもったいないのです。
■ メリットになることとは?
しかし、「メリットですね、ハイどうぞ」とすぐに差し出すことは至難の業です。
相手によってメリットが異なるからです。
どの相手であっても、まずは相手の立場、気持ちや状況の理解が必要になります。
的を射たメリット提供には、相手の情報を得るためのコミュニケーションが欠かせません。
本当に人それぞれ、そのときどきの状況によっても、メリットのニーズはことごとく変化します。
(企業単位)
・売り上げが上がること
・コストを抑えられること
・生産性が上がること
(個人単位)
・誰かに喜んでもらえること
・スキルや能力が上がること
・モチベーションアップできること
■ メリット提供の習慣
メリットを提供すること自体が、自分のメリットと感じることができますか?
実は、ビジネスコミュニケーションでの大切な基本視点でもあります。
これができる人の周りに、仕事も人も集まってくるようです。
メリットを提供しようと意識することを習慣化しましょう。
習慣にすることで、相手のメリットを見極める力を伸ばすことができます。
探して、磨いて、メリットの提供のプロを目指して喜ばれる存在になってください。
何が起きるかは…もうお分かりですね。
■ 意識を相手のメリットに向ける効能
メリットの提供ができることはコミュニケーション能力のひとつ。
メリットを提供することに意識を向けることには、違う側面からのメリットもあります。
相手のメリット(良いこと)を探すことに思考を使うので、相手が不快に思うことを発信してしまうことを避けることにも繋がるのです。
相手が不快に思うことなんて、わざわざ言わないさ!と自信のある人も、振り返ってみてください。
同僚に自分の愚痴を聞かせていませんか?
ネガティブな感情を呟いて周りに影響を与えていませんか?
自分の長い長い話に付き合わせることはありませんか?
まとまらない話で相手を困惑させることはないですか?
つい相手に反抗や、否定的な言葉や態度で反応していませんか?
自分の都合だけを考えて仕事の指示、依頼、報告をしていませんか?
そこにコミュニケーションがある限り、どのシーンにも当てはめることができます。
相手のメリットは?を考える時間がもたらす「ひと呼吸」は、衝動的にネガティブなことを「やっってしまった」「言っってしまった」となる前の防波堤となってくれるのです。
■ ものごとの先を読んで知らせる心遣い
気が利く人と仕事をするとスムーズに進むものですよね。
気が利く人は、ものごとの先を読むことがとても上手です。
ひとつのやり取りの中でも、その場だけでなく、その先を考えてみましょう。
予測して情報提供をしたり、かもしれない…の準備をしたりするのです。
職場の人から、そのあとに訪問する企業の場所を聞かれたとします。
口頭で説明して、相手が何となく場所を掴めたとしても、そのあとに地図、連絡先、周辺情報を送っておくというのも先読みの気遣いです。
職場で誰かの到着を待っているときに、直前に大雨が降ってきました。
濡れたり、足元を汚して到着されたりする可能性を予測して、タオルや靴のケアができるものを用意しておくと役に立つことがあります。
契約先の担当者に、自分が対応できない場合を考えて、代理担当者の連絡先を伝えたり、部下への指示を出すときに、あらかじめ、誰もがよく間違える点を伝えたりすることも先読みです。
先読みは、仕事の効率化だけでなく、相手の助けになったり、相手負担を削減したりできるのです。
■ ものごとの先を読むと心構えができる
先読みは、自分の仕事もスムーズにします。
今、行っていることが、毎日、毎週発生することなら、そのときについでに準備しておくとスムーズになることがあるはずです。
電話を掛けるときに、相手に必要と思われる情報を、あらかじめ手元に揃えておけば、質問に即座に対応することができるでしょう。
未来のことは、確実ではないかもしれませんが、今、目の前のことが絶対と思わないことです。
先を読んで予測を立てることで、急なハプニングが起きても、焦ったり、慌てたりすることを少なくできるのです。
■ 先読みシミュレーションで準備ができる
上司との面談、社内の企画の提案、お客様との商談など、対話の機会があるときにはシミュレーションが役に立ちます。
相手はどんな情報を必要としているだろう
これを伝えたら、相手はその先、どんなことを知りたくなるだろう
これを見せたら、相手にその先、どんな疑問が湧くだろう
シミュレーションは、ひとつのコミュニケーションプロセスを決めてしまうのではなく、いろいろなプロセスの方向の可能性を探ることです。
そのひとつひとつの可能性に対する準備を整えることが役に立ち、喜ばれることも増えるでしょう。
■ 先読みの効能
先読みによって、相手に気遣いが伝わり、好印象を残せることが増えます。
また、起こり得ることに対する準備が可能になるので、仕事が効率的になり、コミュニケーションもスムーズになっていく可能性を高めるでしょう。
逆の場合を考えると、ストレスを感じる場面が増える可能性が見えてきませんか?
そのストレスが、間接的にコミュニケーションに影響することが考えられるのです。
■ ビジネスでは到達地点が必要
ビジネスでは、限られた時間で、多くのことを、正確に、良質にこなすことが求められます。
無駄な時間を省きたいと思うのがビジネスパーソンの共通の心理ではないでしょうか。
ビジネス上のコミュニケーションでは、ひとつひとつに到達地点がないと無駄なものになりがちです。
何を伝えたのか分からない会話になった…
何を確認したかったのか忘れた…
言われたことのポイントが掴めなかった…
何のために行っていて今どの地点かが不明…
上記のようなことが起こると、到達どころか先に進むことすら難しくなるでしょう。
行うこと、言うこと、聞くことの到達地点を意識したやり取りを心掛けましょう。
自然に中間地点も見えてくるようになり、整えることも軌道修正も簡単になります。
■ 整理して聞く
プライベートなやり取りなら、何気なく質問を投げかけることもあるでしょう。
そこに、目的があっても、思い付きでも。
しかし、仕事の場合は、相手の時間を数分でも割かせているという意識を持つことが大切です。
質問されたことで、相手は手を止め、集中の矛先を変え、質問について答えることになります。
目的も、何を聞きたいのかも掴みにくい質問は、さらに時間を要してしまうでしょう。
質問をするときは、疑問な点はどこなのか、なぜ聞きたいのか、必要としているのは何なのかをできるだけ細かく砕いて、頭の中で整理してから聞くようにします。
また、一回にひとつの内容に絞りましょう。
あちこちに要件が飛んでしまうと、相手に負担をかけるでしょう。
それだけでなく、結局、自分の記憶にも残りにくいものなのです。
一度聞いたことと、まったく同じことを聞いて、相手に不快感を持たせない心掛けも大切です。
■ 整理して伝える
友人や家族となら、取り止めのない話を楽しむことも許されるでしょう。
しかし、ビジネスでは、取り止めがなければ相手にとっては大迷惑となることが多いです。
相手が大迷惑と考えていなくてもプラスになることはありません。
話を聞いてもらう時間を割いてもらっているのですから、整理した伝え方をすべきなのです。
整理した伝え方の基本は、大事な点を最初に、そして、理由や具体例を添えることです。
あらかじめ考えていないと、補足事項や言い訳に満ちた話になることもあります。
■ 書き出して思考を整理する
何ごとも、書き出してみるというひと手間を活用してみましょう。
書き出すことで、頭の中が整理される効果は、思っているより大きなものです。
その都度の到達地点までのコミュニケーションのストレスを激減させてくれるでしょう。
質問する前に、聞き出す項目を書き出しておきましょう。
聞き逃しを防げるだけでなく、思考から抜けていたポイントに気づくこともあります。
質問の答えをもらうときの、メモも取りやすくなるでしょう。
答えてもらうことのメモを取れば、再確認が可能になります。
伝えるときも同じく書き出して準備をしてみましょう。
到達地点に辿りつけない話を回避する有効な対策です。
要点や伝えるべき点を、あらかじめ構成しておくと、話しやすくもなります。
相手にとって分かりやすい話ができ、お互いにストレスが減らせるでしょう。
■ 情報のやり取りは信頼性を左右する
世の中には、あらゆる種類の情報が溢れています。
残念ながら、事実の情報ばかりでなく、過小や過大評価されたものや間違っている情報も流れているものです。
コミュニケーションでの会話や文書の内容も情報です。
誰もが情報の提供者になっているという自覚を持たなければなりません。
自分が持っている情報は、「事実」かどうかを意識し、確認する習慣を持ちましょう。
自分の得た情報を精査しないまま、安易に相手に伝えることは、とても危険です。
聞いた噂のまま、見た広告のまま、それが事実のように伝えることは控えましょう。
その情報が相手の行動や言動に影響を与えることがあるからです。
将来的に間違った情報であることが判明すれば、相手の自分への信頼は失われるでしょう。
そればかりでなく、その情報によって相手に大きな損失を負わせることすらあるのです。
■ 進行や判断がスムーズになる
すべて確かな「事実」に基づいて動くようにすることで、何が必要か、必要でないか、行動するのか、しないのかなどの判断が的確になります。
仕事の進行もスムーズになり、成果にも大きな影響を与えるはずです。
曖昧なまま、憶測のままに進めてしまうと、思わぬ誤解やミスに繋がりやすいのです。
余計な時間を費やすコミュニケーションを招いてしまうでしょう。
■ 確実性の自己確認
自分が見ているもの、考えていること、発信している情報が事実かどうかを、常に「疑問視」することが大切です。思い込み、先入観、憶測など、確実性を邪魔するものがたくさんあるからです。
本当にそうだろうか?
という自問自答を確実にするためには、理由や根拠と照らし合わせてみることが有効です。
多くの情報を持つことよりも、確かな情報を持つ意識を持ちましょう。
精査を心掛けると確かな情報というのは案外少ないということに気付くかもしれません。
確かな情報が少ないことは、決して悪いことではありません。
持てる情報が少ないと、行動や思考はシンプルになっていくものなのです。
■ 確実性の他者確認
相手からの情報についても、事実かどうかを意識する必要があります。
相手に悪気はなくても、不確かな情報を受け取ってしまうことは多いものなのです。
決して、相手を疑いましょうという意味ではありません。
その情報が事実かどうかを知り、活用するかしないかを判断するのは、自分の責任の範疇だからです。
相手も、その不確実性に気付いていないなら、一緒に確実な点を探ることが必要かもしれません。 不確実な情報であれば、お互いにその情報を活用しないことを受け止めることもできます。
相手の情報の確実性を見極めるにも、理由や根拠、具体的な例を探ることが有効になるでしょう。