書くことも、音声なしで伝える/受け取るコミュニケーションのひとつです。
ビジネスでも、メール、報告書、企画書、プレゼンテーションのスライド、広報など、多くの場面で書くことがあります。
読み手への依頼や質問
意見や見解の伝達
相手の質問への答え
声で伝える際のサポート
確認のためのツール
書く際にも、相手に「伝わる」ことを意識する必要があります。
コミュニケーション上では、すべてが相手の視点に立ったものでなくてはなりません。
単に「書く」という作業を完了しようとすると、これがなかなかうまくいかないものなのです。
「短いこと」「明確なこと」「具体的なこと」ビジネスシーンでの読み手の理解を促す重要事項です。
どの文章や文書の作成でも、読み手を意識しながら書いていくと、コミュニケーション上の支障も少なく、仕事もスムーズに進んでいくでしょう。
ビジネス上のうまい文章やいい文書というのは、下記の条件を満たすものです。
作成する文書の目的を果たせること
理解までの時間が短いこと
相手に必ず読まれること
相手の役に立つこと
相手の興味を引くこと
相手にとって分かりやすいこと
相手の行動に繋がること
書くコミュニケーションでは、中身とともに、相手の時間や負担を軽減することも大切な要素です。 自分の作成時間を長くし、読まれる時間を短くする努力をしましょう。
短かいなら簡単!短時間で作成できるはず!と考えるのは早計かもしれません。
簡潔な文章や文書を作成しようとするとき、実は、長い文章よりも時間を要するものです。
シンプルでありながら、重要要素は漏れなく盛り込み、かつ、効果的な言葉を厳選して分かりやすくする必要があるからです。
書く前には、情報を整理して、要素と流れをうまく構成するようにしましょう。
読まれる前の、削る、言い換えなどの編集、そして確認も欠かせません。
この時間を費やすことによって、相手に短い時間で理解してもらえる文書を作成することができます。
書くコミュニケーションで、相手の理解を得るためには、どんなことが必要なのか、具体的に5つの項目に分けて説明します。
■ 書く前の準備の大切さ
文書や文章を、白紙の状態から、すぐに書き始めようとしていませんか。
書く前に、必ず準備時間を取りましょう。
準備の手間は、仕事のスピードを遅くするのでは?と思うなら、それは大きな誤解です。
準備がその後のコミュニケーションをスムーズにし、そのテンポも加速させてくれるでしょう。
ミスがなくなる
誤解がなくなる
理解してもらえる
伝えたいことが伝わる
準備なしで突っ走ってしまうより、数倍も数十倍も進捗を早めるでしょう。
自分の時間を費やすことで、相手に提供できるものは膨大です。
読みやすい
分かりやすい
時短になる
メリットに意欲が湧く
行動を促され、相手はメリットを得る
■ 有効な目的を明確に設定
準備の第一ステップは、目的を明確にすることです。
目的を明確にできたら、必ず再考してみましょう。
明確な目的と思っていても、実は、中途半端なことがとても多いです。
「広告を出すこと」は目的とは言えません。
「広告を出して多くの人に見てもらうこと」でもありません。
「広告を出して行動に移してもらうこと」でも足らないようです。
「利用して、効果を得る人を増やすこと」ではどうでしょう。
それぞれの目的設定の段階によって、書くメッセージが変わってくるのです。
のちのち考えてみると、「だから、うまくいかなかったんだ」ということにも気付くことは多いのです。
■ 相手を徹底的に意識する
相手の立場、状況、心境、理解度を意識しないと、読み手にとってはわかりにくい、自己満足の文書ができあがります。
誰が読むのかによって、盛り込む内容が激変するのです。
激変させなければならないことも大切な前知識と言えるでしょう。
報告書なら、読み手が同僚か上司か、経営者なのかによって、必要とされる内容は異なるでしょう。
同僚なら、日々の業務に反映できる詳細の内容
上司なら、フィードバックやサポートの必要性が見える内容
経営者なら、他社や前年との比較、市場動向・分析など、組織視点から把握できる内容
■ 構成を考える
伝える要素と、その流れや順番を考えることも重要です。
伝える内容に合わせて、構成の要素や並べ方を考えましょう。
伝える要素選びは、自分が伝えるべきことと相手目線の要素を一致させるか、融合させるかの二択。 流れについては、苦手な人は、フレームワーク等を活用しながら慣れていくこともおすすめです。
PREP法(プレップ法)を例としてご紹介します。
1.【POINT】 結論
2.【REASON】 理由
3.【EXAMPLE】具体例
4.【POINT】 結論の言い換え
■ 反応を予測し、さらに準備
仕事でのさまざまな「書く」際に、コミュニケーションをさらに円滑にするための心掛けがあります。
その文章や文書への読み手の反応を予測して、その予測に対する準備をすることです。
段取りや資料の用意といった物質的なものから、精神面の心遣いなども含まれるでしょう。
コミュニケーションを円滑にしようと思うとき、どんなシーンでも「準備」が無駄になることはありません。
たとえ、想定外の反応が返ってくることがあっても、その心掛けが自分自身のコミュニケーション力を鍛えていることになるのです。
■ 読む気にさせる簡潔さ
ビジネスシーンでは、時間が重要視されます。
誰もが、できるだけスピーディーに仕事を進めたいと思っています。
文字がぎっしり詰まった文章を見たとき、言葉にせずとも瞬間的にネガティブな感情が湧くでしょう。
「これを読むの?」「きついなー」「時間が掛かるな」と感じれば、読むことを放棄する人すら出てきます。
パッと見の印象というのは、伝わるかどうかの最初の関所とも言える重要な要素です。
読む文章ではなく、見る文章を提供するという意識も常に持っておきましょう。
■ 読み手の時短と負担削減で好印象
内容の重要性と同じく、相手の時間や負担を減らす意識が好印象に繋がります。
そのためにできることはたくさんあるので、チェック事項を確認してみましょう。
あいまいな表現は具体的に
言い切れる事実なら言い切りを心掛けます。
だと思います。 → です。ます。
いつも → 毎日、毎月、毎回
大きく → Lサイズ、A4サイズ、フォント16ポイント
早め → 1時間以内に、今日中に、明日までに、金曜日までに
頻繁に → 毎分、1時間おきに、一週間に3回
長い言い回しの見直し
契約することに決定した →契約を決定した。
間違いというわけではありません →間違いではありません。
長い文章の分割
一文が長くなると理解のための負担が増します。短く区切って繋げてみましょう。
読みやすい文章の一文の文字数は40文字以内と言われています。
× 悪い例
一文の中に多くの情報が詰め込まれていると、読み手が混乱してしまい、長い文章を読むのに疲れさせてしまうので、興味を失わせてしまうことを防ぐためにも、短い文章でシンプルに書くことを心掛けましょう。
○ 良い例
情報がぎっしり詰まった長い文章だと、読み手は混乱しやすくなります。
読むことに疲れて、興味を失わせないためにも、文章を短くシンプルにまとめましょう。
適切な改行と行間
相手が読む際に使う媒体なども考慮して適切に改行を入れます。
行間も狭すぎたり、広すぎたりすると読みにくいものです。
項目ごとに緩急をつけるとさらに読みやすくなるでしょう。
相手が考えてしまう言葉を使わない
漢字を多く使うと難しそうな印象を与えるので、できるだけ開くようにします。
相手が理解できるかではなく、ここでも印象を意識します。
漢字と漢字以外の割合は1:3くらいが理想的なのだそうです。
是非御覧下さい。 →ぜひ、ご覧ください。
類似点過剰のため →似ている点が多すぎるため
相手が知らない言葉はかみ砕きましょう。
ディテール → 細かな点
アジェンダ → 議案
■ インパクト大!読み手の記憶向上を促す
できるだけ書く内容を短くし、要点が絞り込まれた文書は、ひと目で理解することができます。
読むことは、言語を司る左脳をよく使いますが、パッと見れると、右脳の働きを促すと言われています。
馴染みのある言葉の使われた短い文章で、かつ適切な流れで組み立てられた内容なら、イメージすることも喚起します。
イメージによって感情とも結びつきやすく、その処理は右脳の仕事です。
右脳での処理は、読み手の記憶定着をより強固にし、印象にも残りやすいそうです。
そこから進んでいくコミュニケーションなら、自分が伝えたように進む可能性を高めてくれるでしょう。
■ 不必要なものを認識しよう
文書を作成したときに、不必要なものが入り込んでいないかを確認することが大切です。
この確認をしたことがない人の文書は、おそらく、内容のすべてが必要なものと思い込んでいるでしょう。
そんなときほど、多くの無駄が含まれていることがあります。
■ 内容的に不要なもの
トピックに関連しない内容
文書や項目に関連しない、関連性の薄い要素は、削ってしまいましょう。
要点を際立たせるため鉄則です。
トピックが複数存在する
1つの文書では、できるだけ1つのトピックに絞るのが正解です。
特にメールのような、その後のやり取りが続く場合は徹底しましょう。
メールの処理は、件名に応じて管理する人がほとんどです。
件名には、そのメールの内容が書かれています。
件名と異なる内容が含まれいてる場合、その内容を、あとで探し出すのが難しくなります。
複数の内容が含まれていると、1つは解決して、他の内容がまだ解決しないような場合、やり取りする双方で紛らわしさが発生してくるでしょう。いずれも、最悪の場合、忘れて放置するということが出てきてしまうのです。
■ 文章構成の中で不要なもの
重複している言葉
全体で重複している内容、文章の中で重複している言葉を削ります。
一番最初、もう一度再考、必ず必要など。
不要な接頭語・接続詞
ですから、したがって、ところで、しかし、また、なぜならなど。
なかったとしても意味が変わらないようであれば削りましょう。
不要な敬語・丁寧語
ビジネス文書では、です、ます調、である調、体言止めが可能なものがあります。
報告書、企画書、プレゼンテーションのスライドなどでは適切に削りましょう。
■ 書くコミュニケーションで気を付けること
多くの無駄を見つけ、とことん削ることで相手にとって読みやすい文章になることは明らかです。 ただ、関係のないことでも、コミュニケーションということを考えたとき、削らなくていい部分もあります。
心遣いの言葉です。
たとえ、その内容に関連性がなくても、その内容よりも相手を喜ばせたり、安心させたりするものは、さりげなく添えても邪魔にはならないはずです。
身体の調子どうですか?
無理はなさらないでくださいね。
今日会った田中さんが褒めてたよ。
いただいたお菓子、おいしかったです!
■ 箇条書きは簡潔表現の特効薬
ビジネスシーンでも箇条書きは頻繁に使われています。
メールでも、報告でも、企画や提案のプレゼン資料でも、内容を簡潔にする書き方のひとつです。
一つの事柄の構成要素を把握してもらうための説明なら、そのまま並べる箇条書きで十分でしょう。 文章の中に埋め込むよりも、相手に分かりやすくなります。
持参物:
・筆記用具
・タブレットPC
・印鑑
・申込書
・社員証
■ 行動は羅列では伝わらない
箇条書きにする項目に何らかのアクションが入るときには、少し思考を巡らせてみましょう。
× 悪い例
今月の業務内容についてご連絡します。商談3社、定期ミーティング、経費の見直し、1月期の書類の整理、Webサイトの更新です。
○ 良い例
2月期の業務計画:
・商談3社
・定期ミーティング
・経費の見直し
・1月期の書類の整理
・Webサイトの更新
ひと工夫を加えることで、さらに伝わりやすい上質な箇条書きに仕上げることができます。
このあとの項目で、詳しく説明します。
■ 箇条書きの工夫のポイントと活かし方
特に報告、企画などの文書では、見出しを箇条書きにして活用するのも有効策のひとつです。
一つ一つの項目について、そのあとに説明を加えていくプロセスです。
まず、読み手の時間削減を考えてみましょう。
最初に全体像を提供
長い内容ほど、あらかじめ箇条書きで示すことが親切な書き方です。
ちょうど、本の最初の目次のようなものです。
全体をはじめに提示することで、読み手の負担はグッと低くなるのです。
読み手は、内容の重要度や読む必要性をすぐに把握することもできます。
既知の内容は省く
全体像を把握してもらう際に、読み手が既に分かっていることは省いてみましょう。
例えば、下記が上司に伝える今月の業務の連絡だったとします。
この箇条書きから、上司はどのくらいの「新しい」情報を受け取れるでしょうか?
2月期の業務計画:
・商談3社
・定期ミーティング
・経費の見直し
・1月期の書類の整理
・Webサイトの更新
このままでは、上司に疑問が湧く可能性は高いと考えられます。
この箇条書きの内容を見て、上司が「それはわかっている」と思う確率も高いでしょう。
これでは、上司の時短の役には立ちません。
すでに知っていることを読んだだけの無駄な時間が費やされています。
さらに、そのあとの詳細を読み進める時間も必須になるでしょう。
提出者に差し戻しや質問する時間が必要になることもあるでしょう。
どの企業との商談なのか?
ミーティングは何を話し合うのか?
どの経費を見直すのか?
1月期のどの書類?
Webサイトの何を更新?
下記のように書き換えることができます。
2月期の業務計画:
ABC社、DE社、KIP社との商談
営業フロー改善のミーティング
コールドコールの時間計測の実施
1月期送付の請求書類の整理
Webサイトのコラム欄の更新
これによって、上司は、より詳細に業務内容を把握することができます。
その詳細が必要な場合のみ、読み進めればいいことになります。
冒頭の箇条書きを読んだだけでも、上司が有効な指示や行動を起こせる確率は高まるでしょう。
■ 指摘よりも貴重なこととは?
もちろん、ミスはないほうがいいです。絶対にミスがあってはならない重要案件もあります。
そのための自己確認や、上司や先輩の立場で、文書や文章をチェックすることもあるでしょう。
指摘も必要ですし、修正を徹底することも大切です。
ただその前に、作成した人を労うことを忘れないようにしたいものです。
「ありがとう!助かるよ」
「大変だったでしょう?」
実は、そのほうが、今後の注意力を促す力は大きいです。
内容の全体を否定したり、本人の能力が原因であるかのような言葉を発したりすることは避けましょう。 そんな言葉は、何も生み出しはしないのです。
具体的に提案を投げかけて、修正を促すのが得策です。
「2番目の項目はグラフを入れると、もっと分りやすいかもしれないね」
「せっかくいい内容だし、誤字チェックだけやっておいてくれる?」
■ 見逃しがち!ミスの発見よりも大切なこと
間違い探しに力を注いでしまうあまり、見落としてしまいがちな確認事項があります。
「目的を達成できる内容になっているか」ということです。
誤字脱字などの間違いのない文書だったとしても、この点が欠けると意味がないのです。
誰のためにもならない、何の役にも立たない、ただ時間と労力を費やした文書でしかありません。
■ 書かれたものを基にビジネスが動く
文書やメール、自社のシステムツールなどを活用して、契約や受発注が行われます。
書くというよりも、インプットすることがほとんどかもしれません。
書く内容の各項目には細心の注意を払い、ダブルチェック、トリプルチェックを行いましょう。
資材を5,000個注文すべきときに、500個と記載し、気付かないまま進んでしまったとします。 10日後、500個しか届いてないことで、問題が表面化します。
3日後に取引先に届けることになっていたら、再発注をしても間に合いません。
そのお客様にもお客様との取引の約束があるなら、さらに負の波紋が広がります。
到着予定日に生産ラインに投入することになっていたら、生産工程をストップさせてしまいます。 生産ラインに関わるすべてのものや人やコストの損失を招いてしまいます。
■ 間違いは信用を失う
ビジネスでは、とても小さなミスでも、大きな損失に繋がることがあります。
金銭面の損失だけに留まらず、関わる人や企業にかかる迷惑は波紋のように膨らんでいきます。
自分だけでなく自社の信用性すら失ってしまいかねません。
安易なミスを繰り返してしまわないように、間違いやミスの防御策を取り続けることが必要です。 どんなにベテランになっても、確認は怠らないようにしましょう。
照合ミス、誤字脱字、矛盾表現、主語と述語の関連性、不足の重要事項の追加など、挙げればキリはありませんが、気を付けましょう。
■ ミスの防御策一覧
確認をするといってもいろいろな方法があります。
「自分はこうすると間違いにくい」という独自の策を見つけ、習慣にしていくことが大切です。
ミスは必ずあると意識して間違い探しをする
相手への質問や電話でのやり取りなどでは、メモする
内容を声に出して確認する
上司や同僚など第三者の目で見てもらう
確認項目を細分化し、チェックシートを作成して確認する
他のこととの同時進行を避け、一気に完了させる
注意力と集中力を保つために休憩は十分に確保する
デスク回りやPCの中身の整理を怠らない
時間管理を徹底して時間に余裕をもって行う