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ビジネスにおいて最低限必要なコミュニケーションの取り方を指南する入門サイトです

【第6章】質問する

質問する能力

   


コミュニケーションの中で、質問が占める割合というのは、意外に大きいものです。
質問は、相手の思考を動かし、行動を促す大きな力を持っています。

好奇心を持ってものごとや人に接することは、とても大切なことです。
しかし、子供のように質問攻めにすることと、ビジネスシーンでの質問は区別しなければなりません。
質問のスキルを上げることは、仕事の進捗や成果を左右すると言っても過言ではありません。

質問は、疑問を解決するときに使うものと捉えている人は多いかもしれません。
確かに質問によって、的確な答えをやり取りすることは、コミュニケーションでは欠かせないことです。

知っておきたいのは、質問を使うのは、疑問の答えを求めるシーンだけに留まらないということです。

知識を得る → 相手の価値観、意見、視点、状況を知る
物事をより詳しく知る → イメージを広げる
気づきを促す → 注意や興味を惹く
視点を変える → 選択肢を増やす
思考を整理する → モチベーションの喚起

質問をうまく使い分け、使いこなすことができれば、コミュニケーションはさらに円滑になっていくでしょう。
そのためには、質問の目的や意図は何かを明確にしておくことが大切です。
その上で、「何を」「どのように」質問するかで、相手の答えが変わってきます。

一つの質問が、相手の役に立ち、成果や成長に繋がることもあります。
言い出しにくいことも質問形式で伝えることで、良好なコミュニケーションが保てることもあります。
間違っても、質問で自分の思い通りの答えに誘導しないようにしましょう。

よく考えた質問をすることで、自分も相手も、より具体的な行動と思考が促され、目的を果たしていけるのです。
ぜひ、このポイントを「仕事の面白さ」と捉えて、効果的な質問をする考え方を身に付けていきましょう。

また、質問は、コミュニケーションをする者同士の共通事項を増やすきっかけにもなります。
単なる情報でも、相手と同じことを認識することができるでしょう。
相手の価値観や感情、意見、予測などを聞き出すことは、相手に共有してもらっていることになります。
お互いの信頼関係を強固にし、一回一回のやり取りに安心感が生まれるでしょう。



■ シミュレーションの効果

業務プロセスについてのシミュレーションは、よく行うという人は多いかもしれません。
では、職場の人に質問する際に、シミュレーションをしたことはありますか?
行き当たりばったりの質問は、質問を受けた人を混乱させることがあります。
的確な答えが得られず、誤解や理解不足で、ミスや問題に繋がってしまうことも考えられます。
そうなると、不穏なコミュニケーションに発展する可能性も出てくるでしょう。

質問をする際に、シミュレーションすることのメリットを確認しましょう。

的を射た答えが返ってきやすい  → 短時間で解決できる
自分にとって理解しやすい  → 習得度が上がる
具体的に聞くことができる  → ミスや間違いが減る
勘違いや間違いの原因がわかりやすい → 新しい発見
予測が聞く準備を整える  → 聞いたことを確実にする

職場の人に、質問をすることは日常茶飯事。
部下、上司、同僚、それぞれに自分の疑問の解消の協力をしてもらうことになります。

相手が質問の的を把握しやすい  → 時間が短くて済む
相手にとって答えやすくなる   → 相手の思考負担が減る


■ シミュレーションの仕方

質問の項目よりも先に、なぜその情報が必要なのかという点を明確にしましょう。
自分でも一度考え、答えのあたりをつけ、なぜその答えになるのかまで考えます。

5W1Hを使って自分の答えを探り、同じ5W1Hで相手に質問するというのも方法のひとつです。
これによって、質問の角度や言葉が変わることがあります。

質問のシミュレーションでは、2つの要素を意識しましょう。
1つ目は、自分には見えていない側面がたくさんあるということ。
2つ目は、自分だけが持つ情報が、その答えを左右するかもしれないこと。

1つ目の解消には、周りの人の意見やアドバイスが役に立ちます。
だからこそ質問するのですが、状況によっては、すべてが当てはまるとは限りません。
答える側が的確な回答をするには、質問の詳細(自分視点の情報)が必要になることがあります。
その詳細とは、自分にしかわかっていないことです。
シミュレーションによって詳細をしっかり把握し、回答の材料として相手に伝えることは、質問する側の責任でもあるのです。


■ シミュレーションで無駄な時間を省く


<パターン1>
1.質問が漠然としていれば、相手は的を射た答えを出すために、いくつかの確認をするでしょう。
→まず、この時点で、余分な時間が発生します。

2.シミュレーションをしていないと、自分も詳細をよく整理できていない可能性が高いです。
→ここで、その質問の時間は中断し、確認や整理をする時間を費やすことになるでしょう。

3.そして、再度質問するというプロセスを辿ります。
→シミュレーションをしていれば、1の段階で解決できたかもしれないのです。


<パターン2>
1.質問が漠然としていれば、的を射た答えが得られないこともあります。
→その質問に適さない、間違った答えが返ってくるということもあり得ます。

2.業務をそのまま進めてしまい、ミスや問題に繋がってしまう可能性が高くなります。
→ここで、その解決に時間をとってしまうことは明らかです。

3.お互いの心理状態は、この一連をどう捉えたとしても気持ちの良いものではないはずです。
→この場合、質問した人の責任ではありません。

シミュレーションは、頭の中でできてしまうもので、意識すれば身に付いていくものです。
慣れないうちは、書き出しながら、シミュレーション思考の習慣化を図ることをおすすめします。



■ 質問で考えを引き出すことができる

質問で、相手が気付いていないことを引き出していくこともできます。
人は、周りから得た情報よりも、自分の内側から湧く気付きに対し、発見の喜びと行動への意欲を感じるとも言われています。

話し合いやコミュニケーションの中で、喜びを感じてもらえれば嬉しいものです。
さらに、お互いに効果的な行動に繋げられるので、仕事をポジティブに進めることができるでしょう。
上司と部下とのやり取り、クライアントへの営業などでは心に留めておきたいポイントです。


■ 答えは相手が持っている

相手の考えを引き出す目的で質問をするとき、その答えは、質問する人(自分)には分かっていないものと捉えておくことが大切です。
だからこそ、質問するのですが、自分の希望や思い込みの答えに誘導しないよう注意しなければならないのです。

自分から湧き出る気付きというのは、解決策や改善策として最善策であることが多いのも事実です。 部下からの相談、クライアントとの商談などでは、自分の意見やアイデアよりも大切にするべきことと言えるでしょう。


■ 相手の思考を活用する

ビジネスは、常に状況を変化させることが必要です。
状況の停滞は、コミュニケーションも停滞させる可能性があります。
コミュニケーションを活性化することが、停滞を打開する潤滑油になることもあります。

発想やアイデアが必要なとき、相手の思考を借りたいなら、質問を使うのが有効です。
相手が思考しやすい質問を投げ掛けることを意識しましょう。

価値観やアイデアの共有することでもあるので、相互理解を深めることにも役立ちます。
自分視点のAでも、相手視点のBでもない、最適解のCを導くことにも繋がります。


■ 気付きを促すための質問視点


わかっていることも、あえて質問
自分が知っていることを、相手も知っているという先入観を外します。
その答えが、考える材料の一部になったり、再考することで気付きに繋がったりすることがあります。
例:「来週のプレゼンの参加人数は何人だっけ?」

多角的な視点を提供する
人の立場、違う状況、時間の変更、環境の転換などを使って、質問をするのも効果的です。
相手が新たな視点から見ることで、新しい思考回路が使われることになるでしょう。
例:「○○部長と新人の○○君が気になることの違いはどんな点だと思う?」
  「朝と夕方では、結果に差は出るのかな?」

選択肢を提供してみる
選択肢が増えることで、限られていた思考を広げることができます。
例:「○○というのはどうかな?」
  「○○があったらどうなると思う?」



■ 指摘はポジティブにできる

自分の能力やスキルを活かし、責任を果たし、より上質の効果を得ていくには、主体性が必要です。 主体性は、モチベーションを高めるものだからです。

依頼や指示を受けることは、ビジネスでのコミュニケーションでも頻発します。
それに従う行動は大切ですが、自分が考え出したものではないので責任や義務が先行しがちです。 依頼や指示をするときは、そんな相手の受け止め方に配慮した質問形式が有効です。

同じ行動を起こしてもらうにも、行動の質も意気込みも変わってきます。
焦点を変え、意欲的に取り組む仕事から、相手は充実感や自分の成長を味わうこともできるでしょう。

もう少し小さく表示してください。(依頼)
→ 2ポイントくらい小さくしたものと比較してみてもいいかな?

金曜日までに仕上げてください。(依頼)
→ 金曜日の午前中のうちに確認できると助かるのだけど、できそう?


■ 質問で相手の当事者意識を促す

質問は、人に考えることのきっかけを与えます。
例えば、会議やミーティングで、上の空になったり、他のことを考えたり、傍観しがちな人がいたとします。
相手に「聞きなさい」「考えなさい」と伝えても、怒られたと受け止める人は多いものです。
お願いや注意の必要はありません。
質問で、相手を目の前の重要事項に引き込んでしまいましょう。

今は○○のことについて話す時間です。しっかり考えてください。(注意)

→ ○○さんは、何を変えれば改善に繋がると思いますか?
→ ○○を行うことで、どのような反応があると考えますか?


■ 相手の思い込みを解除

相手に思い込みがあるときは、思考を広げる質問でサポートすることができます。
悲観視すぎたり、逆に楽観視すぎたりする場合の転換にも役立つでしょう。
事実の正誤を確かめることも可能になります。

うまくいかない → ○と△はできてるよね?どの地点を変えるといいのかな?
誰も聞かない → 本当に、一人も聞いてないの?
順調に進んでいます。 → 難しいことが一つでもあったら教えてくれる?


■ プラスの質問を心掛ける

相手に質問するときは、プラスの要素にフォーカスして聞くようにしましょう。
質問を受け取る相手が、思考を巡らす重要なスタートポイントです。

悪いことを思い巡らせるときと、良いことを思い巡らせるときの心境を想像してみましょう。
このことは、思い付くことの質にも影響を与えるようです。
相手が気分よく思考できるような、一問一問を提供する、ということを心掛けることが大切です。
質問の言葉次第で、相手の思考の種類が左右されることを心に留めておきましょう。

なぜ売り上げが上げられないの?(責任追求)
→ どうすれば売り上げが上がると思う?(共有思考)
→ 何を変えれば売り上げは上がっていくかな?(共有思考)

なぜ、この問題が起きたの?(過去視点)
→ どうすれば防げるかな?(未来視点)



■ ポイントを質問で確かめる

相手の理解力や理解度を把握するために、教えてもらうように質問する方法もあります。
相手が答えられなかったとしても、質問した自分も分からないという位置づけが、ネガティブ感を招く可能性を下げてくれます。
また、思わぬ有効な言葉が飛び出すことも期待できるでしょう。

○○には、AとBとCが必要なので準備してください。
→ 今回のプロジェクトにはどんな準備が必要だと思う?

XXXのやり方は、きちんと理解できてる?
→ XXXって、どうすればいいんだっけ?


■ 自分の答えが正解とは限らない

質問に答える際には、自分の答えが相手の知識や情報になり、判断や決断の材料になるという責任が伴うことを肝に銘じておきましょう。

ものの名前や置かれている場所のような単純なものなら間違いは少ないでしょう。
方法や対策、使うツールや判断のようなものは、いつのときも自分が最適解や正解を持っていると思うのは危険です。

相手が困っていて、好意で教えたいときにも少し慎重になってください。

現代は、どんなに頭が良くて経験豊富な人でも、持っている知識、情報、方法は、氷山の一角でしかありません。
当たり障りのないよう、ひとつの情報として伝えることは、簡単かもしれません。
しかし、相手が未熟であるほど、それを100%絶対の案と捉えることも多くなります。

相手にとって、自分が、どう答えることがベストなのかを考えることが大切です。
いつも好意的で優しい対応をすることばかりが、良いコミュニケーションではありません。

すぐに答えを与えないことは、自分の思考での試行錯誤を経験させ、答えを探る方法を身に付けたりすることを可能にします。相手は自分の思考をフル回転させ、かつ相手のペースで一つ一つ納得をしながら理解に努めるでしょう。安易に答えを得るよりもその理解度は深いはずです。

しかも、自分と相手の思考回路は異なります。
人生の中で見聞きしてきたものも、取り巻く人も、価値観も興味の矛先も異なります。
答えとして、どんなものを見つけ出すかは、人によって異なるのです。

その答えは、双方のやり取りに留まらず、組織や社会や世界をも変える300%の力を持っている可能性もあり得るのです。
たとえ自分の持つものが、100%の自信があったとしても、さっと与えてしまえばポテンシャルの芽を摘んでしまうかもしれないということです。
その思考力、探索力を促すことは、長い目で見ると双方にとっての最上級のコミュニケーションになるのではないでしょうか。

何か見つけたら、教えてくれる?
いい方法があったら、シェアしてもらえる?
今すぐ答えを出さなくていいから、自分でも考えてみてくれる?


■ 「疑問」を課題として共有することの意義

職場では、質問と答えのやり取りが発生します。
「何時かわかる?」→「今は10時35分です」
「Bファイルはどこだっけ?」→「キャビネットの2段目にあります」
など即時に返答できるものばかりではありません。

例えば、ひとつの業務のやり方を考えてみましょう。

上司は、「それはAからBを設定してからCを決めるのがいい」と思っています。
先輩は、「Cを決めることで、設定すべきものがその都度分かる」と思っています。
自分は、「Dで自動的にABCが抽出できる」ことに気付きました。
それぞれの立場や業務の特質から導き出している最良策でしょう。

組織としてこのような問題を考えるときの重要ポイントは、どれが正解かということではないのかもしれません。 大切なことは、上記の例でいうと「どの手順が効率的か」という課題と、その選択肢を共有することです。質問というコミュニケーションによって、共有が可能になるのです。



■ 質問は一回に一つに絞る

複数の内容を含む質問は、相手を混乱させます。
こちらも、あちらも考えなければならなくなり、一つの答えの精度が下がるでしょう。

どんな○○が効果的だと思いますか?それはなぜですか?
という質問は、二つにまたがっています。

どんな○○が効果的だと思いますか?
に対する相手の答えに合わせて、次の質問に移るのが得策。
もしかすると、それはなぜですか?という質問ではなくなる可能性も出てくるでしょう。


■ 質問には種類がある

質問には種類があります。
目的に応じてどの種類の質問が効果的かを考えて選び出しましょう。

クローズドクエスチョン(5W1Hなど)
一言で答えられる質問です。
→あなたは賛成ですか?
→明日の会議はどこで行われますか?

オープンクエスチョン
はい、いいえで答えられない質問です。
→どんな点で(賛成/反対)ですか?
→どんなことがこの好成績の要因だったと思われますか?

オルタナティブクエスチョン
選択肢を提示する質問です。
→契約は取れましたか?取れませんでしたか?保留ですか?

チャンクアップ質問
内容をまとめさせる質問
→それによって、どんなメリットに繋がりそうですか?

チャンクダウン質問
内容を分割していく質問
→何がどれくらいあると進められそうですか?


■ 質問の仕方にも変化を

答えが知りたい、気づきを促したい、相手の反応を見て相手を理解したい、など質問の目的は異なります。そのときどきの目的に沿って、質問を使い分けていくことが大切です。

同じ質問を繰り返してみる
回顧させる質問をする
声のトーンを変えてみる
視点を変え、言い換えて聞いてみる
もしも…だったらという聞き方をする
一言でダイレクトに聞く
沈黙を利用して相手の思考を促す


■ 良い関係を築く質問


オウム返し質問
仕事でも雑談でも、相手の質問をそのまま相手にも聞いてみることもおすすめします。
聞かれてまずいこと、嫌なことをわざわざ話題にする人はいません。
聞かれたということは、相手も話したがっているという可能性が高いようです。

相手:お休みはどこか行かれましたか?
自分:いいえ、家でゆっくりしました。どこか行かれましたか?
相手:ハワイに行ってきたんですよ。

気持ちを聞く質問
ビジネスでは事実確認が重要視されます。
そのことばかりに意識を向けると、相手の気持ちや感情を知る機会が減ってしまいます。
「接点の密な」職場のメンバーやお客さまには、気持ちを質問することも、ときには大切になります。
察するというよりも、あくまで質問にして、ありのままの気持ちが答えられる言葉が理想です。

想像もつきません、どんなお気持ちですか?
大変だったのではないですか?
ご苦労されたんではないですか?
今、どんな気持ち?
そのときはどんな風に感じた?



TOPページ

【第1章】心構え

効果を上げる前提
 ・ 先入観
 ・ ポジティブ
 ・ タイミング
 ・ 違いの理解
 ・ 好奇心

【第2章】ビジネス意識

日常との違い
 ・ 具体性
 ・ メリットの提供
 ・ 先読み
 ・ 整理
 ・ 確実性

【第3章】聴く

聴く能力
 ・ 姿勢
 ・ 観察
 ・ 相づち言葉
 ・ 論理的に聴く
 ・ 集中力

【第4章】伝える

伝える能力
 ・ 要点を絞る
 ・ 短く伝える
 ・ 伝える型
 ・ 相手視点
 ・ 言葉選び

【第5章」書く

書く能力
 ・ 準備する
 ・ 一瞬読解を目指す
 ・ 項目の確認
 ・ 箇条書きの工夫
 ・ 確認の徹底

【第6章】質問する

■ 質問する能力
 ・ シミュレーション
 ・ 気付きを促す
 ・ 注意を促す
 ・ 質問で教える
 ・ 質問の種類と効果

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