本文へスキップ

ビジネスにおいて最低限必要なコミュニケーションの取り方を指南する入門サイトです

【第3章】聴く

聴く能力

   


聞くことが得意な人は、コミュニケーションの達人になれるといっても過言ではありません。
聞くことができると、ビジネスシーンでも、社内外に関わらず、たくさんのメリットを運んできます。

聞くことができない人は、その真逆のことを経験するのです。
聞いているつもりでも、実は聞けていないということは、思っているよりよくあります。

すぐ相手の話の腰を折って自分が話す
よく相手の話を否定する
相手の話を批判、批評する
聞いたことに対して、すぐアドバイスをする
シーンとしたので、話で埋めようとする

これらのことは、聞いていそうで聞いていない人にありがちなコミュニケーションです。

「傾聴」という言葉があります。
傾聴は、単に聞くのではなく、相手への関心と理解するという意志を持って、積極的に聞くスキルのことです。
実は、強固な精神力と大きなエネルギーを必要とするスキルです。
十分に傾聴スキルを使いこなすのは、簡単なことではありません。

聞くことばかりを意識すると、
自分のことが伝わらず、コミュニケーションにならないのでは?
話が進まなくて、コミュニケーションにならないのでは?
コミュニケーションでは、相手は何かを知りたいと思っているのでは?

と感じる人がいるかもしれません。
しかし、それは大きな誤解、心配は無用です。
人は、自分のことを聞いてほしい生き物です。
相手の話を深く聞かなければ、相手を理解することは不可能です。

きちんと相手に心を傾け、話を聞き、理解することができると、
「話を聞いてくれる人」=「自分を理解してくれる人」ということが必ず相手に伝わります。
よく話を聞くことで、相手に自己重要感や安心感を与えるばかりでなく、対立を防ぐことも可能になります。ひとりひとりが違う人間という認識の中で、共通点を見つけ出す機会にもなり得るでしょう。
これも、良いコミュニケーションを取っていく重要なポイントなのです。

大切なことなので、繰り返します。
良いコミュニケーションをとるには、相手を理解することが必須項目です。
理解できなければ、良いコミュニケーションは取れません。
理解するためには、深く聞くことから始めなければならないのです。



■ 聞くときの身体の姿勢

話を聞くとき、自分の姿勢を意識したことがありますか?
聞きたくてたまらないとき、私たちはどういう姿勢をとるでしょうか。
前かがみに乗り出して、耳をダンボにして、聞き逃さないようにするでしょう。

聞きたくないとき、興味がないときの無意識の姿勢に気付けているでしょうか。
そんな姿勢の人に向かって話す相手の心理を、知っておく必要があります。

猫背になる
腕や脚を組む
肘をついたまま
他のことをしながら
背もたれにもたれ掛かる
視線や身体を相手に向けない

聞くときの良い姿勢とは、相手に気持ちよく話をしてもらうという目的を持ちます。
身体ごと相手に向く姿勢をとりましょう。
視線だけや首から上だけでは、相手は聞いてもらっていると思えません。

聞いてもらっていると思えない相手と話を続ける気にはならないでしょう。
自分のことを軽視されたという不快感を抱かせてしまう可能性もあります。

お客様でも上司でも、部下でも後輩でも同じように心掛けることが大切です。


■ 聞くときの心の姿勢

聞くときの心の姿勢を意識することで、無意識にも身体の姿勢に反映されてくるものです。
心の姿勢は、とても大切で、コミュニケーションをより深くスムーズにするための必須要素です。

話している相手のことをよく理解しようとする聞く姿勢は基本中の基本です。
この「理解するために」という意識は、抜けてしまうことがよくあるのです。
ただ聞くだけでは、本当に相手を理解することは難しいのです。
心の姿勢を邪魔するものの存在は意識して取り除く必要があります。

相手の話の途中で自分の話に切り替える
結論を急いで話を待てない
先入観をもとにして聞いてしまう
真剣さや敬意を持って聞かない
相手の言葉の意図や本質を考えない

傾聴することが難しい人は、ついついやってしまいがちなので気を付けましょう。


■ 聞くときにはメモをとる

相手の話を聞くときに、あとの確認のためにメモを取っていく人は多いと思います。
もちろんメモを取ることは、その後に続く業務の正確性を高めます。
それだけでなく、このメモを取るという動作を見る相手は、きちんと聞いて理解しようとしてくれていると感じ、安心して話続けることができるのです。

昨日の誰かとの会話で、相手のことについて何か分かったことはありますか?



■ 相手の発信は言葉だけではない

相手の気持ちや状況を理解するための材料は、会話での言葉だけではありません。
声のトーン、大きさ、速さ、話し方にも相手の気持ちや状況を察することができます。
話している途中の微妙な変化を感じ取ることもあるでしょう。

それによって、自分の言葉も行動も変化させていくことが大切です。
相手に投げかける言葉も適切に選んでいくことになるでしょう。
耳での観察も、コミュニケーションでは大きな役割を果たすものなのです。


■ 相手を理解するための視覚活用

視覚から得られる情報も、コミュニケーションの材料になります。

どんなに明るく話そうとしていても、今にも泣きそうな表情
積極的な言葉を話しているけれども、胸の前の腕を組んだままの姿勢
一気に呼吸が荒くなったり、目つきがキツくなったりといった変化
そわそわして、手元や足元の動きがざわついた雰囲気。

相手の表情、身振り手振り、姿勢も相手の状況や心理状態が反映されることを知っておきましょう。
視覚をフルに活用することで、相手の気持ちや状況をキャッチすることが大切です。
相手の気持ちを汲み取って、話を進めるために欠かせないポイントになります。


■ 不快感があっても感情で受け止めない

良いコミュニケーションは、お互いの気遣いがあってこそ成り立つものです。
しかし、相手も自分と同じような意識を持ってくれているとは限りません。
相手が聞いてくれない、理解してくれないと責めたり、同じ努力を求めたりするのはおすすめしません。
相互に不協和音が鳴り響けば、たちまちコミュニケーションが取れなくなるでしょう。

相手を観察していると、不快感を覚えることはあるかもしれません。
しかし、「その現象は、なぜ起きている?」のほうに意識を向けましょう。
何らかの原因が隠れているはずです。
それが、相手にとってとても重要なことというのはよくあることなのです。


■ 相手に合わせてみる

相手の気持ちや状況に合わせた接し方をすることも大切です。
この合わせるというのは、真似ることとは少し異なります。
相手の興奮の度合い、話の速さなどのペースに合わせて対応するということです。

相手がとても喜んでいるときに、低いトーンで反応するのは悪い例です。
失敗して極度に落ち込んでいる同僚に、頑張れ!と発破をかけることも相手とのズレが生じる可能性があります。
お昼休みで皆がリラックスする時間に、カリカリと急かすような雰囲気で接することも合わせているとは言えないでしょう。

しっかり観察し、相手に合わせた反応を返すことで、相手は受け止めてもらっていることを感じるのです。

よく見ていてもらってホッとしたり、助けられたりした経験はありますか?



■ 相づちで安心感を与える

相手の話を聞くとき、適切に相づちを打つことによって「しっかり聞いている」ことが相手に伝わります。

人は、聞いてもらっているということがわかると、安心して話すことができます。
その安心によって、気持ちよく話を続けることができるのです。
相手の話が多ければ多いほど、相手の情報がどんどん入手できます。(これが傾聴です!)
聞く側(自分)の理解も深まります。これが良いコミュニケーションの第一歩なのです。

頷く、身体ごと相手に向けることも大切なことです。
もっと効果的に聞いていることを印象付けるには、声に出し、言葉にする相づちが有効です。
同じ言葉を連発せずに、バリエーションを持たせることもポイントです。
相手によって、言葉を使い分けていくことも必要になるでしょう。

はい/いいえ
えぇーっ
へぇー
ほぉ〜
大丈夫ですよ
そうそう
そうなんですね
すごいですね
よかったですね


■ 相づちで共感を伝える

相づちによって、相手に自分の共感を伝えることができます。
相手と共通認識があるということを理解し合うことができます。
共通点があると、相手に対する親近感や信頼度が増し、コミュニケーションがスムーズになります。

ただ、思ってもいないことを同調する必要はありません。相手に対して返って失礼になります。
相づちには、自分の意見も含まれるということを知っておくことも大切です。

そうですよね
いいですね
大変でしたね
困りましたね
それを聞いて嬉しいです。
それを聞いて安心しました。
よかったです。

これらの相づちで伝える共感は、同じ目線に立っているということと言えるかもしれません。


■ 相づちで自分の興味が伝わる

相手への興味が伝わり、相手の話をどんどん引き出していく相づち表現もあります。
相手の返答を深めていく質問は、5W1Hに当てはめると聞きやすくなるでしょう。

いつだったんですか?
どこに行かれたんですか?
誰の講演でしたか?
どうやって見つけられたのですか?
なぜ、そうされたのですか?
どんなポイントで選ばれたのですか?

他にも言い回しはたくさんあるようですよ。

それで、どうなったんですか?
具体的には?
例えばどんな?
それは、どういうことですか?
もう少し詳しく教えてください。
結果はどうなったんですか?


■ 「間」という相づち

聞くことの上手な人は、相手との会話の中に適切な間を活用します。
聞くことが苦手な人は、相手との会話での「間」=沈黙を恐れている傾向が高いようです。
わざわざ、どうでもいい話でその間を埋めようとしてしまうのです。

沈黙は、相手に思考するという貴重な時間を与えるものです。
お互いに頭の中を整理できる時間でもあります。
その時間を十分に提供することで、相手の気付きを促したり、さらなる相手の情報を引き出せたりします。間を恐れることなく、有効に活用しましょう。

会話で、聞かれて嬉しく感じるのはどんなことですか?



■ 相手の話を整理しながら聞く

整理された話は理解しやすいものです。
しかし、相手がいつも、わかりやすい話をしてくれるとは限りません。
どんなに長い時間、大量の情報が話されたとしても、整理されていない話は分かりにくいものです。
長くなり情報量が多くなると、返って大切な部分や到達地点がどこなのかが掴みにくくもなります。
逆に端的すぎることで、深く理解できないこともあります。

相手が、一生懸命伝えようとしてくれていたとしても、このようなケースはよくあることです。
ならば、聞き手が整理して聞いてあげましょう。
相手の話を聞くために、こちらから質問を投げかけて確認をしていくことも、聞くことの大切な要素と覚えておいてください。じっと耳を傾けるだけではないのです。


■ 話の整理を促すもの

話の整理のためには、事実確認をしっかり行っていくことが大切です。
相づちを返すように、相手の言葉をそのまま繰り返したり、同じことを他の言葉に置き換えたりして伝えてみましょう。

相手が「そうです」と答えたら、話を続けてもらい、
「いや、そうではなくて」と答えるなら、修正をしてもらうのです。
相手とのすれ違いを防ぐことができます。

そうやって、相手の真意を確認しながら集め、自分の中で再構築することも、理解に繋げる整理の方法です。


■ 論理的に整理して聞く

相手にとって、一番伝えたいことを聞き逃すのは残念なことですよね。

結論や要点がぼやけているなら、まずは、その点を確認してみましょう。
なんとなく理解していることを「〜ということですか」「〜と受け止めていますが間違っていませんか」と聞き返してみるのです。

まとめる作業は、集中力を要しますし、高度なスキルが必要ですが、前の項目で説明した事実確認を行っていると身に付きやすいようです。必要な情報は何かという点が把握できていると、それを穴埋めするように聞き出すことができるでしょう。

要点や結論が分かったら、それに対しての理由や根拠を確認してみましょう。
尋問のように感じられるかもしれません。
尋問のように受け取られる可能性もあります。
警察官のような疑いの視点、先生のような上から目線の問いかけにならないように気を付けましょう。

何を基にしてその結論や考えに至るかというのは、人によって異なります。
相手の結論を決定づけた材料がどんなものかを知ることは相手を理解する重要な要素になります。
また、相手が確固たる根拠や理由なしに結論に至っている可能性もあり、双方がそのことに気付くこともできます。

このように、お互いに気付ける点は多く、相手の思考も会話を進めるごとに整理されるので、もっと良い結論に辿り着けることもあるでしょう。

誤解やすれ違いでコミュニケーションがうまくいかなかった経験はありませんか?



■ 傾聴には高い集中力が要る

きちんと聞くことには、さまざまな意識を集結させる必要があります。

自分の姿勢への意識
相手を観察すること
適切に相づちを入れること
論理的に話を理解すること

そのひとつひとつに大きなエネルギーを使うことになります。
これらを同時に、きちんと意識するためには集中することが欠かせません。
この集中して聞くということを、意外に難しく感じる人は多いのではないでしょうか。
しかし、この集中の度合いが、聞く内容、見えるもの、感じることを大きく左右するのです。


■ 自分の感情が一番の邪魔者

傾聴しようとする際の集中の妨げになるものはいろいろありますが、相手を理解するための集中を阻害するのが自分の感情です。
聞いたことを、感情で受け止めてしまうことは、自分に意識が向いていることだからです。
相手を理解しようとするときは、相手に全力集中しなければなりません。

自分の感情だけでなく、自分の意見を浮かべることも、自分の思考を巡らせることもストップして相手に接することが大切です。
感情や意見が入ってしまうと、それを基にした自分の反応が加わってしまうでしょう。
相手から発信されているさまざまな情報から、遠ざかってしまうのです。
相手の感情、意見、思考に意識を向け、そのものに反応しながら、相手のことを引き出すように意識を集中しましょう。

理解に繋がるひとつのルールでもあり、このことが集中するためのコツとも言えるでしょう。


■ 対話での集中力アップの方法

相手に集中することは、言葉でいうより難しいことかもしれません。
日常的な実践での意識を積み重ねで、鍛えていくことができます。
鍛えられていくごとに、だんだんと少ないエネルギーで集中力を発揮することができるようになります。

まずは、何に集中するかの的を絞ることが大切です。
もちろん、対話での的は「相手」です。
当たり前のことのようですが、「自分」という邪魔者の威力はとても大きいので気を付けます。

聞くことは「受ける」ことですが、受け身では、相手を理解することはできません。
聞いたことを記憶したつもりで終わり!では、理解に至っていないことがほとんどでしょう。
能動的に、主体性を持って聞くことを心掛けましょう。

能動的に聞くとは?
下記のことを強く意識しながら聞いてみてください。

相手に話しやすさを提供できているか?
相手が話したいことはどんなこと?
相手が聞きたいことはどんなこと?
相手のためになることは何か?
相手の今の状況と感情はどんな感じか?

理解しているかを確かめながら聞くことも能動的な聞き方のひとつ。

目的は何で、何が重要ポイントで、何が補足となる説明なのかを考えることで、全体を捉えられているかの確認ができます。
理解して聞いていないと、実は、このまとめるということが難しいものなのです。
意識してみると、結構なエネルギーを使うことを実感するでしょう。とことん集中力を使います。

普段の会話で意識するとそのまま傾聴のための集中力を実践することになります。
聞いたあとに全体の要点をまとめるつもりで聞いて、実際にまとめたことを伝えて確認してみましょう。
トレーニングは、テレビのニュース、CMやドキュメンタリー、オンライン上の講義などさまざまな媒体を教材として使って試していくのも一つの手段ですね。

この人、私の話を聞いてないなと感じた会話の経験はありませんか?



次のページ
<第4章:伝える能力>

【第1章】心構え

効果を上げる前提
 ・ 先入観
 ・ ポジティブ
 ・ タイミング
 ・ 違いの理解
 ・ 好奇心

【第2章】ビジネス意識

日常との違い
 ・ 具体性
 ・ メリットの提供
 ・ 先読み
 ・ 整理
 ・ 確実性

【第3章】聴く

■ 聴く能力
 ・ 姿勢
 ・ 観察
 ・ 相づち言葉
 ・ 論理的に聴く
 ・ 集中力

【第4章】伝える

伝える能力
 ・ 要点を絞る
 ・ 短く伝える
 ・ 伝える型
 ・ 相手視点
 ・ 言葉選び

【第5章」書く

書く能力
 ・ 準備する
 ・ 一瞬読解を目指す
 ・ 項目の確認
 ・ 箇条書きの工夫
 ・ 確認の徹底

【第6章】質問する

質問する能力
 ・ シミュレーション
 ・ 気付きを促す
 ・ 注意を促す
 ・ 質問で教える
 ・ 質問の種類と効果

☆ おすすめ教材 ☆